「ともおくんと太陽」 決断編
洞窟の奥に辿り着くと、そこには、大きな口を開けて寝ている龍がいました。
洞窟の入口でヒューヒュー吹いていた風は、寝ていた龍の寝息でした。そのあまりの風と、龍の口の大きさにともおくんとパパは、びっくりして、慌てて岩陰に隠れました。
こっそり、顔を出してみると、目を覚ました龍と目が合ってしまいました。
龍:「そこにいるのは、人間かい? ここに、なにをしにきたんだ。」
ともお:「ぼくたちは、太陽さんを助けるために旅をしてるんです。
太陽さんを助けるため、宝物の残り一つを探しているだけです」
龍:「きみが探している宝物なら、その洞窟の上にある滝つぼの中にあるはずだ。
宝物を見つけるには、滝の水を止めないとダメだよ。できるかい?」
パパ:「それなら、わたしが岩を動かして、滝の水をとめてみせます」
ともお:「パパならきっと出来るよ。大丈夫。パパがんばって!」
パパが大きな岩を持ち上げようとしたその時、滝の下から叫びこえが聞こえてきました。
こい:「やめてーおねがい!
水がなくなっちゃえば、わたしたちが死んじゃうよ〜」
金魚:「お願いやめてください!」
めだか:「ここは、わたしたちの、おうちなんです!!」
パパ:「ともお、滝のみんなが、叫んでいるね。
でも、水を止めないと、最後の宝物が
見つけることができない・・・太陽さんを助けられくなるよ」
ともお:「水を止めたら、滝のみんなが死んでしまう・・・」
ともおくんは、悩みました。太陽さんを元気にするために、ここまで旅をしてきました。
しかし、最後の宝物を見つけないと、太陽さんのところに、帰ることが出来ません。
パパ:「ともお、どうする?」
ともお:「太陽さんを助けたいって、一生懸命に頑張ってきたけど、
その為に、滝のみんなを、困らせちゃうことは、出来ないよ。
ぼく、残念だけど、最後の宝物をあきらめるよ・・・」
パパ:「そうだね。残念だけど、ここのみんなを守らなきゃ」
しょんぼりしながら、ともおくんは、龍に、気持ちを素直に話しました。
すると龍は言いました。
龍:「旅の途中で良い経験をしてきたようだね。
きみの目を見ているとわかったよ。
それに、みんなを助けようという、やさしい心と勇気を持っている。
きみの気持ちに感動したよ。 よし、わたしも、協力してあげよう」
そういうと、龍は、滝に向かって、ふ〜っと大きな息を吹きかけました。
すると、激しく流れていた滝の水は止まり、ともおくんの足元から滝に向かって、
2本の虹が現れました。
ともお:「わぁーすごい☆ 虹の橋が掛ったよ。パパはやく!!」
ともおくんと、パパは、急いで虹の橋を渡り、滝の向こう側にたどり着きました。
そこには、透明で少し緑かかった龍の爪がありました。
ともお:「探していたのは、これです。ありがとう!
これで太陽さんを元気にすることができます」
龍に、何度もお礼を言って、龍の爪を、リュックサックに入れました。
ずっしりと重たくなったリュックサックを背負って、ともおくんは、
洞窟を後に、太陽さんが待っている、公園へ急いで向かいました。
続く・・・