それぞれのドラマ

仕事の帰り道、いつもの交差点を渡る。



スーツを着た男性が満弁の笑顔を浮かべ、ガッツポーズをしながら通り過ぎた。


「上手く仕事が取れたのかな?」



大通りの角には、携帯を握りしめオシャレをした女性が
そわそわしながら立っている。



「大好きな彼との待ち合わせかしら?」



駅前にある喫茶店で、年配男性が鬼の形相で若い女性店員をまくしたてている。



「何か気にさわることがあったの?」




みんなそれぞれに、人生にドラマがあり、今を生きている。



「明日は、今日以上に、素敵な日でありますように・・・」



わたしは、空を見上げる。



台風で荒れている空は、喫茶店前の年配男性に、どこか似ていた。