働く意味

昨日、聞いた話で興味深いものがあったので、紹介したいと思います。



わたしの知り合いがたまたま立ち寄った喫茶店で、コーヒーを飲んで寛いでいたとき、隣の席に、男女2名が座って、会話をはじめた。


男性は普段着、女性は、黒のスーツに白シャツ、顔はまだ社会人とは言えない幼さが残っている。
時折、聞えてくる会話から推測すると、この男女は、大学の先輩後輩の関係で、男性が女性に対し、就職活動に関する、エントリーシートの記入方法や面談時のコツを教えていた。



知り合いは、仕事柄、大学に所属し、学生の就職活動に携わっている。
聞えてくる話の内容に、盗み聞きして申し訳ないような気持ちになりながらも、
その二人の様子を見守っていたという。


話が進むにつれ、さらに、詳しい情報がわかってきた。




女性は、すでに、数十社、入社希望を出し、面接をしたのだが、すべて、不採用となっていること。
どうして、自分が内定をもらうことが出来ないのかが理解できない様子。
男性は、就職浪人として1年間を過ごし、やっとの思いで、1社から、内定をもらうことが出来たこと。



不思議だったのは、男性は、そのせっかく掴んだ、内定の切符を、手放したというのだ。


その理由を切々と、女性に語っていたという。



「僕は、就職をしなければならないという概念にとらわれて、とりあえず、自分が受かりそうなところを、かたっぱしから受けていた。
だけど、どこも決まらず1年が過ぎ、焦りも出てきた。
努力を重ね、やっと、内定の通知を受け取った時、嬉しい気持ちよりもあったが、
急に働く意味ってなんだろう?自分は何をしたいのだろう?
と疑問が湧いてきた。モヤモヤした気持ちですっきりしない。
自分自身に答えがみつからないまま、とりあえず仕事に就いたとしても、
仕事を続けていけるのか?と思った。それで、内定を辞退したのです」  と。



みなさんは、この男性の気持ちをどう受け止めるでしょうか?
わたしは、この話をきいた時、今の大学生の本音がここにあると思いました。



最近、特に感じることは、多くの若い方達が
何かをする時にその行動に対し、「意味」に強いこだわりを持っているということを感じます。


「意味」=「理由」


わたしは、学生時代から、親からおこずかいをもらえない環境でしたので、
高校生になったころから、さまざまなアルバイトをしてきました。
その「意味」は、「遊ぶお金がほしかったら」という、明確な理由がありました。
ですから、少々嫌な仕事があっても、合わない上司がいても、そんなことはお構いなしに、たんたんと与えられた仕事をこなしていました。



アルバイトの仕事の内容といえば、責任を持つ部分は薄く
ルーティンワーク中心なものが多かったのですが、その仕事の中でも、
沢山の学びと、教えをいただけたように感じています。



「働く意味」について、悩んで立ち止まることは一度もありませんでした。



わたしにとって、学生のころのアルバイトで培っていた経験が原点となり、それが今に繋がっていると思っています。



わたしは、この男性の言う、「働く意味」の中に、「自分の存在価値」や「なぜ生きるのか?」的な要素も含まれているように感じました。
単純ではないですね。少し哲学的なのかも。



少なくても、昔のわたしの時のように「働くこと」=「お金を稼ぐこと」ではないということです。
逆に「社会に貢献したい」という気持ちが強くなってきているように思います。



もはや、お金(給与)では、求心力はなくなってきていると思います。



雇用する側も企業責任として、人を雇用する必要性や、企業全体の、どの部分を担うのか、その仕事をすることにより、どのように、社会貢献が出来るのか。
そういった内容を、事前に十分に話し合うことが必要なのかもしれません。



「社会貢献」この言葉が、これからの、若い方達にとって重要なキーワードになりそうな予感がします。



最後に、わたしにとって「働くこと」=「生きること」です。
仕事を通じて、沢山のことを学び、人と出会い、浮かび上がるさまざまな感情と向き合う。


それは、まさに、「生きている」と実感する瞬間がそこにあるからと思うからです。