久高島・一夜明けて <その3>

話し話の間に、知らぬ間に、寝ていたようです。
初めてのお宿にも関わらず、とても熟睡出来ました。


遠くに波の音が聞こえ、その音で目が覚め、時計を見ると朝の4時でした。

まだ、外は真っ暗です。
隣のおばあちゃんの部屋を見ると、まだ寝ているようでしたので、足音を忍ばせながら、布団を上げ、身支度を整えました。



そのころになると、薄らと空が明け、昨夜の雨も上がったようなので、わたしは、楽しみにしていた、レンタル自転車での、早朝、島内一周をすることにしました。


島の住人は少なく、自転車で走っていても、人に会う事は、ありませんでした。


「うわ〜っ、神様の島、貸切り〜。すっごい、贅沢だなぁ〜」


雨上がりの砂利道は、水たまりも多く、自転車では、ぬかるんで、走りずらい状態でしたが、朝の空気も澄んでいて、やわらかい風が吹き、とても気持ちよかったです。


久高島の伝説の地、そして、点在する、すばらしい景観のビーチの砂浜を巡り、一時間ほどの、島内観光を終えました。



お世話になった、お宿のおばあちゃんに、出発する旨を伝えたところ
「寂しくなるから、さよならは言わんよ。またおいで」って言って、見送ってくれました。
たった、一泊の恩でしたが、その言葉がうれしくて、少し涙が出そうになってしまいました。


この島では、ほとんどの観光客が、日帰りの為、宿泊する人が極端に少ないのですが、あえて、宿泊することによって、わたしは、得たものがあったように感じました。


そして、フェリー乗り場に向かい、久高島を後にしました。


どんどん、遠ざかっていく久高島は、神様の島の名にふさわしい、風格を漂わしていました。



久高島は、古き良き時代の、日本の心に気付くことが出来るところだと思いました。

機会があれば、また行きたいです。
おばあちゃん、元気だといいな。



おしまい




余談ですが・・・

ちなみに、久高島の名産は、「イライブー」と呼ばれる、ウミヘビの燻製です。
見た目、怖いですよー
このあたりでは、お味噌汁にいれて、食べるのだそうです。
滋養強壮に効果ありとのことです。